莞爾の草原。

RPGツクールVX Ace、MVや自作のことを主に書いていくブログです。不定期更新。

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【回顧録】2021年を公開したゲームで振り返る

 自分用の回顧録として記しているため乱文乱筆が目立ちますがご容赦ください。
 ネタバレを含みます。

 

Die Mutter(ディームッター) 2021/3/23-2021/4/11

game.nicovideo.jp

 後述の長編RPGの制作が大盛どんぶりのように終わらず心が折れていた時にデザートのシャーベットを頼むように手を出した短編RPG。今年だったっけという印象が強い。
 「敵を仲間にできるRPGっていいよね」という思い付きから始まり、「宇宙っぽい場所で移住した人類が絶滅した動物の設計図をもとに復元して仲間にする」「モンスターの死骸を回収し材料に使う」「A級モンスターではヒューマノイド、S級モンスターは人間で仲間にできる」「最終的に主人公の生き別れた恋人を復元する」「ストーリーはあまり語られず、マップに散らばった手紙から手さぐりに全容がわかる」というメモ書きをまとめた結果生まれた。
 宇宙っぽいとか恋人とかの要素は製作段階で生まれたアイデアとかみ合わなかったため最終的に抹消された。
 ドラクエモンスターズに影響をうけたつもりだったが、いただいたコメントでは女神転生っぽいというものが多かった。女神転生をプレイしたことがなかったので参考になった。

 アイデアとサイトの相性からアツマールで公開したほうが良いと感じたためツクールMVで作りはじめたが、48x48pxのタイルマップと歩行グラフィックを描く力が私にはなかった(MVより前のツクールシリーズでは32x32pxだった)ため、どうしたものかと思案した結果逃げるようにレトロゲーム風にしようと考えが至った。
 FCゲームには一家言あったためドット絵をこだわった結果、日本語だと文字数が多すぎるから英語で作ろう、FCのマリオも英語しかない、英語のほうが様になると開き直り英語版だけ作って公開したが、それでも遊んでくれた方から「日本語対応待ってます」との声をいただき、泣きながら日本語フォントを作っていた。
 そんな不純な思いから英語でゲームを作ったわけだが、当の英語圏の人からは「外国人が作ったのかな」とすぐにばれていたため英語を学び直さなければなと反省した。

 また日本でも海外でもレトロ風のゲームは惹きが強いことも大いなる知見となった。
 自分の絵を見るたび惹きが弱いと思っていたが、そんな私でもドット絵にすればめちゃくちゃ絵がきれいなゲームにも肩を並べることができるのかもしれない(言い方がよくない)。

 

NEXT DOOR 悠遠の世界 2018/11/27-2021/11/12

kanjinokusa.booth.pm

 約3年の歳月をかけ、多くの方々にテストプレイなどで協力を仰ぎようやく完成した長編RPGゲーム。直前まで年内に完成するとは思ってもいなかった。
 これまでで最長の開発期間の中で様々な初体験を経験し、先述のテストプレイのみならず公開後の宣伝などでご教授いただき今を迎えている。
 これまで無料の素材を中心にゲームを作っていたが、本作ではタイトル画面のOPテーマや効果音、タイルマップ、画像素材などなど惜しみなく金銭をかけ、その損失は他のゲーム作者さんへの技術協力の報酬で補っていた(言ってはなんだがゲームの売り上げよりも有償技術協力のほうがかかる時間も短くインカムも多い)。
 今作から惜しみなく有料素材を使いだした理由はこのゲームを自分が販売に挑戦するきっかけにしたかったからだ。フリーゲーム作者としてこのまま活動を続けても芽が出ないから「いつかは販売に挑戦して何か学びを得よう」「このゲーム以外売れるものを作れる気がしない」という迫る思いがあった。
 ただ値段をつけて売ったことでダウンロード数が目に見えて減ることは目に見えていたため、売っていいものかどうか周りの知人やTwitterのフォロワーの方から意見を伺い、完成する直前まで大いに悩んでいた。

 また、初体験の中でも2019年11月のデジゲー博出展は自分がいわゆる『フリーゲーム』から『インディーゲーム』というジャンルへと足を踏み入れる大きな体験であった。
 原義で言えばフリーゲームは無料で遊べるゲームでしかなく、無料で公開されているインディーゲームもまたフリーゲームであり、個人が開発したものであればフリーゲームもまたインディーゲームではあるが、実際にそれらの性質は全く異なるものであると思える。
 それらを表すように、フリーゲームを作ったものは作者、製作者と呼ばれ、インディーの場合は開発者と呼ばれることが一般である。

 かのインディーゲーム開発者中心のイベントに参加したとき、最も驚いたのは参加者全体の技術レベルが高く、ゲームのコンセプトがユニークなものばかりであったことだった。
 フリーゲームの場合開発エンジンがツクールやウディタ、もしくはノベル系で開発エンジンもいわゆるノーコード的なものが多いためプログラミング未経験者も多く、開発エンジンと技術力という壁があるがゆえゲームジャンルもホラーやRPGなどと偏りが見られた。
 しかしインディーゲームの場合はUnityなどプログラミングスキルが求められるものが多く、実力者は自分の作りたいものを壁にとらわれることなく作ることができる。
 フリーゲームが制服に縛られた学生であるならば、インディーは制服のない大人も同然の自由な大学生のように見えた。
 またフリー(自由)が指し示す通り、フリーゲームは個人が自分の好きなものを思うがままに作り、プレイヤーも作者固有の味を求めてプレイするもので、インディーゲームはキャッチーなコンセプト(ゲームシステムや世界観)やゲーム画面を掲げ、ゲーマーでない一般人の人目をも集め商業展開やポートフォリオなどに使う、敷衍するならば『売れるもの』という印象がある(個人の偏見)。

 フリーゲーム作者として長らくやってきた感覚が抜けず、キャッチーなコンセプトもないままに作った検索しても引っかかりづらいタイトルの、しかも長編のゲームに特別な吸引力があるわけもなく、周りのブースには人が並んでいるのに自分のところには誰も来ない惨めな思いをしたことは今も自分の中で葛藤を生む大きな糧となっている。墓石にもなっている。

 インディーに片足を突っ込んでしまったが故、自分がやりたいことが自分にとって有益なものであるかという新たな悩みに2021年最後の日である今日でも苦悩している。
 2015年この名前でフリーゲームを作り始めたときは、自分のやりたいことをしてきただけだったが、ゲーム公開後はダウンロード数やレビューなどの外部の評価に一喜一憂し、6年たった今では本来の目的を忘れ作りたいものが勝手に作れなくなって勝手にスランプに陥り勝手に苦しんでいる。

 ネガティブな話が続いたが、なんにせよ中学生が高校生になるぐらいの時間作りこんでいたゲームが完成して自由になれたのはよかった。
 歩行グラフィックの等身が中途半端に高いせいでモブ含む登場人物やマップチップまで自作する必要があり、またすべてのモブに顔グラも用意し、プログラミングも独自で行い、パーティ編成が自由であるため分岐したシナリオを作らなければならずと、とにかく時間がかかった。
 名残惜しいがこのレベルの大規模な長編は今後作ることはないだろうと思う。

ガイドブック販売(12/22)

kanjinokusa.booth.pm

 ゲーム公開前から応援してもらっていた方からの「ゲームの付属本みたいなのだしてほしい」というご要望に張り切った結果生まれた結構ボリュームのあるガイドブック。ゲーム完成時点で9割9分完成していたが、ゲームのほうの様子を見てから販売しようとして、ゲームの売れ行きがあまり芳しくなかったことからモチベーションが下がりずるずると公開が遅れていた。
 しかし「お悩み相談がわからない」「二つ目のエンディングに到達できない」といった購入者の声を受けたことでやる気を取り戻し年内に完成、公開することができた。
 攻略本商法(プレイヤーを意図的に詰ませて攻略本を買わせるSFCぐらいまであった商法)になることを避けるために、有料か無料か迷った結果100円で売ることになり、最終的にゲームを買った人の半分近くが買ってくれたのでそれがうれしかった。
 付属本と言えど手抜かりせず、作中の攻略情報やアイテムの入手方法、設定、言葉としては語られていない微細な事実、キャラ名の由来、没設定、その他資料など豊富な内容を含んでいるほか、技術的な知見なども含まれているためまだ購入されていない方は是非是非。

 技術的な話になるが、一般的なブラウザの初期設定では画像・JSファイル以外のローカルファイルを読み込めない仕様になっていることを加味し、記事データにはJSONやHTMLを使わずJSファイルだけで実装していたが、その甲斐むなしく「ローカルの画像をCanvas上に表示してピクセル情報を取得しようとするとエラーで止まる」という未知の仕様のせいでトップ画面しか表示されない不具合があったことを知り絶望した。
 Chromeはボタン一つでローカルファイルへのアクセス権限を変更できるようになってはくれないものか
VS Codeデバッグ機能からChromeを立ち上げるとローカルファイルへのアクセスが禁止された状態でテストできることを知ったのは後の話)

Xmasセールで50%OFF販売(12/24-12/31)

 クリスマスセールと銘打ってクリスマスが終わってからのほうが長い。
 ゲームだけで攻略本はしっかり100%プライス(100円だけど)

 

ムツアナ 2021/11/17-2021/12/11

game.nicovideo.jp

 NEXT DOOR完成後手持ち無沙汰になったおりに、NEXT DOORの反省を生かしインディーらしいインディーゲームを作ろうと以下のようなマンダラチャートでアイデア出しを行った結果完成したゲーム。

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・ゲームを作りたい=>作れるものなら何でもいい、短編、ショートショート
・多くの人を感動させたい=>受けてるものを参考に、とっつきやすいものにする
・ゲームのコンセプトを定めたい=>体験型、何かを得ることでできることが増える
・ゲームのモチーフになるシンボルを作る
・面白いシナリオを作りたい=>惹かれるプロット、エロかホラー、コンセプトに対する答えを提示する、SF
・深いシナリオにしたい=>読み直すごとに新たな意味が見えてくる
・前と同じものは作りたくない=>RPG以外
・デザイン=>統一された雰囲気、マゼンタが映える、絵の勉強をしろ

 といろいろ書き連ねた結果5割ぐらいはゲームに反映された。

 かねてよりシナリオ作りの勉強としてPixivで異常性癖の研究(?)を行っていたがその知識がようやく生かされるものとなった。ホラーに見えるかもしれないが、個人的にはエロ的な要素が強い。何もついてないムツアナもいいし、体以外モグラとなったムツアナもいいし手足頭が別の動物のキメラ状態のムツアナもいい。

 最初はLACKNESS(lack...欠落、ness...名詞の接続語)という造語のタイトルだったが、主人公の名前に使っていたムツアナをタイトルにすればいいじゃんと至極まっとうな考えに至り変更した。英語ではHexahole、中国語では六个穴(个は個の簡体字)となり、日本語よりも海外版のタイトルのほうが気に入っている。

ウォングプロポ 2021/12/12-2021/12/21

【シューティングゲーム】ウォングプロポ | フリーゲーム投稿サイト unityroom

 NEXT DOORでミニゲームを移植したシューティングゲーム。Unityを勉強しなければという強迫観念から作られた。
 Unityはどんなゲームでも作れるというだけあって機能も豊富だが静的型付け言語らしい段取りが多く、画像の読み込みや音楽ファイルの再生などの部分が難解で、ツクールのSpriteとBitmapだけ覚えておけば大体なんとかなるお手軽さに慣れていた自分にとっては頭が痛くなるものだった。
 C#故にコードを編集したりテストプレイをしたりするたびコンパイル待ちの時間があり、仕方のないことではあるが累計でかなりの時間をイライラしながら浪費していた。
 無論Unityが悪いわけではなく、単に動的型付け言語になり親しんだ私との相性が合わなかっただけである。
 勉強になることは多かったが、このゲームを機に「ゲーム作りは趣味で自分の将来のためにするものではない」と開き直りつつある。
 しかしそのままではいつまでも石の斧を使い続けている石器時代の人間のままで暗い将来しか待っていない。

 

終わりに

来年以降は生活のほうで少々ドタバタするため以前のように長編を作ったりは難しく、NEXT DOORを作り終えてネタも意欲も燃え尽きてしまったため今はクリエイティビティがカラの状態になっているが、それは今年の厄ということで2021年に置いていければと思う。
それではよいお年を。