Steamにゲームを公開して心が折れた話【フリゲ作者からインディ開発者へ】
リリースのお知らせ
Steamにて異世界召喚RPG『NEXT DOOR 悠遠の世界』をリリースいたしました。
ゲームの詳細などは下記にて簡潔にまとまっているためそちらをご参照ください。
Steam公開までの経緯
2013年ごろからフリーゲーム作者としてゲームを作ってきましたが、いつも心のどこかで自分のゲームを売ってみたいという野心が燃えていました。
ただ、自分のゲームは決して一般受けするものではないし、私個人がやりたいことをやりたいままに詰め込んだ素人くさいものだという自覚があり、値段を付ければ誰も遊んでくれないだろうと思っていました。
そんな中、2019年のNEXT DOOR制作当初、その前に作っていた長編RPG『デイドリームリバー』がふりーむコンテストで賞をいただいたことで自信がつき、NEXT DOORを値段をつけて公開しようと思い立ちました。
Steamworksへの登録
Steam上でゲームを販売するにはSteamworksという製作者用のサービスに登録する必要があり、その手続きがなかなかに面倒でした。
↓当時参考にさせていただいたブログ(2022年でもほぼ同じ手続き)
作業内容はほとんど上記ブログに書いてある通りなのですが、個人的に印象に残った点をいくつか紹介していきます。
・何度か住所を英語で書くよう求められたが、英語での統一された表記法がないのでどれで書けばいいのかわからなかった
市はCityかshiか、東はEastかhigashiか。結局バラバラのまま出したが案外通った。
・デベロッパー登録には顔写真付き証明書(Photo ID)が必要
免許証やパスポートが必要だったがどちらも持っていなかったためわざわざマイナンバーカードを発行しに行った
メールで写真を送る際に身分証の内容を英語で説明しないと面倒だと聞いていたのでそれで送り、2日ぐらいですんなり突破
・アプリ提出料の$100
フリゲに慣れていたため「ゲームを出すのに提出料を払うのか」と最初は腑に落ちなかったものの、人による審査があることやデベロッパーに提供する機能も多いことなどから結果的に納得しました
提出料はゲームの売り上げが$1000売れると返ってくるそうなので買ってください
・ゲームファイルの登録
デポやビルドなどわかるようでわからない用語に混乱した末ようやくゲームファイルをSteamworksに登録することができました。
正直今でもよくわかっていませんが、たぶんGithubでいうブランチがビルドでレポジトリがデポだと思います。よくわかりません。
・日本語ファイルは文字化けする(UTF8形式でZIP)
そんなこんなでゲームを遊べるようになったのですが、ローカルファイルを見てみると日本語のファイル名がついていた公式サイトへのショートカットが文字化けしていました。
一部の日本語の音楽ファイルも文字化けしており、結局7-ZIPを使いUTF-8形式で圧縮することで回避することができました。公開する前に気付けて良かった。
その他上記ブログでは書かれていなかったところで重要だった点は以下の通りです
・ゲームファイルのアプデ後にセーブファイルが消されないよう、Steamクラウドでセーブデータ領域を設定する(ワイルドカードで指定できる)
・ストアページの説明文に外部リンクを貼ると審査で落とされる
・RTPなどのプレインストールを不要にするなど、Steamだけでインストールが完結するように設定する(してないと審査で落とされる)
審査は申請から2営業日後ぐらいに完了するので、無駄に待たされたくなければ上記二点は気を付けたほうが得策です
審査以外でもとかく時間がかかったので早め早めの行動が大切でした
感想
記念受験みたいに売れなくても何か学びになればいいだろうと思って挑戦したものの、公開後からしりすぼみしていく数字を見てじわじわと虚脱感が広がってきました。
好きなようにやってもそこそこダウンロードされるフリゲから、販売する以上ある程度の形を求められるインディ(狭義、無料のインディゲームもある)に移ったことで自分の真の需要を知りむなしくなり現実にもだえています。
そもそも自分がゲームを作り始めたのは、自分の作りたいものを作るという思いから始まっていましたが、年が経ちフリゲ作者として評価をもらっていくうちにに方向性が歪み、誰かに評価されるものを作ることに変化していました。
ただ、自分が作りたいものを作って評価されるのは天才だけで私のような凡夫にはかなわぬ願いであり、その事実を今回の販売の挑戦からまざまざと思い知らされたように思います。
その二つがかなわないのならゲームを作り続けても仕方がない、いい加減いい歳だしゲーム作りもやめて現実に向き合っていこうと思っているものの、それに反して創作の熱に脳を焼かれゲーム作りを続けている自分がいて、自分が創作依存症であることに気付きました。
そんな人間がネタもあるわけでもないのに禁断症状でゲームを作り続けてもいいものが生まれるはずがないので、しばらくインプット期間としてゲーム作りから離れることにしました。
私がゲームを作っていた時間が無駄だったかはプレイヤーが決めることです。